仮名草子『籠耳(かごみみ)』より現代語訳してご紹介。
地獄沙汰銭
熊野比丘尼は地獄の様相を絵に写し、掛け物にして絵解きして女童をたぶらかす。かの産まずの地獄・両婦狂いの地獄はたやすく絵解きしないのを、女子どもはやはり聞きたがり所望すると、「百二十文の灯明銭をあげられよ、そうしたら絵解きしよう」というと、我も我もと数珠袋の底を叩き、銭を出し合わせて聞くと、また血の地獄・針の地獄などということを言い聞かせ、女の気にかかるように絵解きして、ひたと銭を取る。これより地獄の沙汰も銭というのだ。
『籠耳』は江戸前期の仮名草子。作者は苗村丈伯(なえむら じょうはく)。この熊野比丘尼の話は巻四に収められています。
不産女地獄(うまずめじごく)・両婦地獄(ふためじごく、浮気した男性が堕ちる地獄)は「熊野観心十界図」に描かれた地獄。熊野比丘尼がこの2つの地獄の絵解きを特に大切にしていたことがうかがえます。
「地獄の沙汰も金次第」という言葉が熊野比丘尼の絵解きに由来しているとは!
映画「熊野比丘尼おりん物語」
熊野在住の有志「熊野映画を創る会」による自主制作短編映画です。
2012年熊野にて自主制作/本編35分/鑑賞無料
監督:中田勝康
脚本:畑中和子
出演:中住麻美、芝佳世子、田宮勝、麻谷光俊、大西沙蘭、大久保彰、
岡本英俊、岡鼻崇、野地本隆、小倉一利、笹谷和弘、井上敦、西浦康代
後援:那智勝浦町、和歌山県、那智勝浦町観光協会、新宮市観光協会、
新宮市教育委員会、太地町教育委員会、御浜町教育委員会、
熊野市教育員会、串本町教育委員会、熊野新聞社、紀南新聞社、紀伊民報
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