井原西鶴(いはらさいかく。1642~1693)の『好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)』より現代語訳してご紹介。
今、男盛り二十六の春、酒田という所に初めて着いた。
この浦の景色は、桜は波に映りまことに「花の上漕ぐあまの釣舟」と詠んだのはここだと、お寺の門前から眺めていると、勧進比丘尼(かんじんびくに:熊野比丘尼のこと)が声を揃えて歌いながらやって来た。
これはと立ち寄ると、かちん染めの布子に黒綸子の二つわり前結びにして、頭はどの国でも同じ風俗である。
もとは、このような事をする身ではないけれども、いつごろより御寮(おりょう:比丘尼の親方)が遊女同然に相手も定めず、「百文につき二人」というのがおかしい。
井原西鶴は、江戸時代の大坂の浮世草子(うきよぞうし)・人形浄瑠璃作者。浮世草子は町人の世態・人情を描いた小説。
『好色一代男』は、井原西鶴の処女作。8巻8冊。発刊は天和二年(1682年)。巻三に、熊野比丘尼の様子が描かれています。
映画「熊野比丘尼おりん物語」
熊野在住の有志「熊野映画を創る会」による自主制作短編映画です。
2012年熊野にて自主制作/本編35分/鑑賞無料
監督:中田勝康
脚本:畑中和子
出演:中住麻美、芝佳世子、田宮勝、麻谷光俊、大西沙蘭、大久保彰、
岡本英俊、岡鼻崇、野地本隆、小倉一利、笹谷和弘、井上敦、西浦康代
後援:那智勝浦町、和歌山県、那智勝浦町観光協会、新宮市観光協会、
新宮市教育委員会、太地町教育委員会、御浜町教育委員会、
熊野市教育員会、串本町教育委員会、熊野新聞社、紀南新聞社、紀伊民報
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